ただいま空き家問題に関するご相談を数件受けております。
それぞれ、いろいろな問題を抱えており、一朝一夕に解決することはできませんが、お客様とじっくり話し合って、解決までの方策を探っております。
その中の一つに、北海道の離島にある建物についてのご相談があります。
当初、別の手続きを受託させていただいた際の雑談の中で、「実家の建物が空き家にならないように何か方法がないか?」とのお話があったのがきっかけで、空き家問題の件もお手伝いさせていただくこととなりました。
調査を開始するため建物の謄本を取得しようと思ったのですが、謄本を取得できなかったため、そもそも建物の登記がされていない未登記物件と判断しました。そこで、建物の表題登記の依頼を土地家屋調査士の先生にお願いしたのですが、その先生の調査の過程で、建物が「数代前の名義」で登記されていたことが判明しました。
どうやら、数十年以上前に相続が発生し、土地については相続の登記手続きがきちんとされていたのですが、建物について相続の手続きがもれていたようです。
土地建物の不動産には、その物件を特定するために、土地には地番、建物には家屋番号という番号が振り分けられております。
たとえば、相模原市南区相模大野一丁目100番1の土地であれば、100番1が地番に該当し、その上に建物を建設した場合の家屋番号は、原則として100番1となります。
ところが、今回の建物はどういうわけだかまったく違う家屋番号が振られてしまっており、そのことが原因で当初私どもが謄本を取得することができませんでした。もしかしたら相続を担当された司法書士の方も、それが原因で手続きをもらしてしまったかもしれません。
ちなみに、不動産の登記情報は電子データに移行されており、事務所のパソコンからオンラインで取得することができるのですが、その建物は事故簿といって、何か問題があってオンライン上のデータに移行できない物件の扱いとなっておりました。
つまり、いまだに紙のデータで記録が保存されており、その建物の所在を管轄する法務局に郵送で謄本を申請して登記簿謄本を取得する必要がある物件となっており、法務局も原因がよくわからないようです。
その当時に手続きを行っていれば、お客様が建物の名義人ですので、建物の活用方法について検討すれば問題を解決できたのですが、今回はその前段階として、まずは建物の名義をお客様にする手続きが必要となります。
当初の相続手続きを、これから行うには、当事者も多く、書類に印鑑をもらう手続きがスムーズにいかない事情もあるため、別の方法を考えなければなりません。
建設してから100年経過しているとのことですが、お客様が家の中を取った写真を見せていただいたところ、部屋も20部屋以上あり、外見では想像できないほど家の中は綺麗で、昔ながらの日本間となっています。また、囲炉裏や昔ながらの箪笥があったりと、非常にノスタルジックな雰囲気を醸しだしている物件です。
外国人の民泊施設などにすれば、需要がありそうな建物ですし、何よりこのまま風化させてしまうのはもったいない物件だと感じました。
ご相談をいただいて、案件に着手したばかりですが、すばらしい建物が空き家とならずに、良い人に承継されていくよう、ぜひこの問題を解決していきたいと思っております。