普段、意識せずになんとなく使っている言葉であったとしても、特に法律用語として使われている場合は、その定義をしっかり認識しておかなければ、法律の適用を誤ってしまうことになります。
例えば、「20歳以下の者の飲酒を禁止する」という法律の規定があったとします。このような場合は、20歳の人は飲酒をすることが出来るでしょうか?
同じく、「20歳未満の者の飲酒を禁止する」という規定だった場合はどうでしょうか?
条文を読んでいく際には、このような似たような表現であったとしても、きちんとした定義を意識しなければ、結果が異なってしまうことになります。
「以上」「以下」「以前」「以後」はその基準点を含むことになります。つまり、20歳以下の者の飲酒を禁止するという定め方がされていれば、基準点である20歳が含まれることになりますので、20歳で成年に達したとしても飲酒をすることが出来ないということになります。
一方、「超える」「未満」「達しない」「満たない」「前」「後」・・・などは、その基準点を含みません。よって、20歳未満の者の飲酒を禁止するという定め方がされていれば、基準点である20歳は含まれませんので、20歳になれば堂々と飲酒をすることが可能となります。
ちなみに、「未成年者飲酒禁止法」の第1条では・・・
・満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
とあり、「至ラサル者」と基準点を含まない定め方のため、20歳の飲酒は禁止されておらず、飲酒をすることが可能という結論になります。
このような表現は、意識すれば至るところに見かけることができます。今度、夏休みに遊園地へ遊びに行った際に、ジェットコースターの注意書きに注目してみてください。
「身長が100cmに満たないお子様は、このジェットコースターに乗ることが出来ません」なのか、「身長が100cm以下のお子様は、このジェットコースターに乗ることが出来ません」で、ちょうど100cmの子供が、そのアトラクションに乗れるか乗れないか、運命の分かれ道となってしまいます。
「身長が100cmに満たないお子様は、このジェットコースターに乗ることが出来ません」と記載されているにもかかわらず、係員にジェットコースターへの搭乗を拒否されたら、しっかり抗議しましょう!(笑)