先日、成年後見制度の利用について否定的な方から、ある本の存在を教えていただきました。
その本とは、「成年後見制度の闇」というタイトルです。
成年後見制度を担う専門家への痛烈な批判がされているとのことで、早速アマゾンで購入して読んでみました。
「ある日突然、赤の他人の弁護士や司法書士があなたと家族の財産・権限のすべてを奪う」と、後見制度を利用するのに躊躇されている方がよくおっしゃられる内容が本の帯に書かれていました。
本を読み進めていくと、一般の方が読んだら確かに成年制度の利用について不安となるなあ・・ということや、専門家の私たちが読んでも、「ほんとうにこんな専門家がいたら確かにそう思われても仕方ないようなあ・・・」と感じる事例もありました。
成年後見制度の運用が開始した当初の頃は、後見人に選任される方は親族の方が大半でした。ところが、親族の方による横領が増えたり、横領する意図なく後見人である自分の財布と財産管理を行うべき被後見人の財布を一緒にしてしまったりと、適切な財産管理がされていないこともあり、現在では司法書士や弁護士などの専門家による第三者後見人が大半をしめるようになりました。
第三者後見人が就任することで、親族の視点から考えると、ある日突然知らない人がやってきて自由に財産を使うことが出来なくなると感じられたり、財産を奪われたりと感じてしまっていることに対して、専門家である私たちがご家族の想いをヒアリングすることなく、事務的に対応してしまうことで、親族の方との間である種の誤解を生じてしまっている構造が本から感じられました。
残念ながら、新聞で報道されるような第三者後見人の横領事件が起きてしまっていることも事実で、このような事例を列挙されてしまうと、後見制度を利用するのに否定的になってしまうのも最もだと思います。
成年後見制度を利用する前に、今までご家族が生活されてきたスタイルをもっとヒアリングし、私たち専門家が成年制度の趣旨の範囲内で柔軟な対応をすることも考えていかないと、結果として制度を利用しない方が増えればご本人が制度で保護されなってしまうことにもなりかねません。
いろいろと考えさせられる内容でした・・・・。