お金を貸し借りした際、後から問題となるのが、「貸したお金が返ってこない・・」という内容の相談がほとんどです。
逆に、「お金を返済しようと思ったのに貸した人が受け取ってくれない・・」という相談は稀なケースですが、もし、そのような事態が生じた場合、貸した人がお金を受け取ってくれないからこれ幸いと、返済をする必要がなくなるのでしょうか?
答えは「NO!」です。
お金を貸し借りする契約は「金銭消費貸借契約」、貸主は「債権者」、借主は「債務者」と呼ばれます。
債務者は契約の内容に従って、義務を履行しなければなりません。つまり、金銭消費貸借契約においての義務は、債権者である貸主に元金・利息・費用等の定められた金額を定められた期日までに支払うこととなります。
よって、債権者が何らかの理由でその受取を拒否したとしても、借主の義務は消滅せず、そのままの状態で放置すると、約束義務違反である「債務不履行」と判断されてしまいます。
他にも、貸主に相続が発生し、だれが相続したかわからない場合に、そのことを理由として返済をしない状況で放置すると同様に債務不履行となってしまいます。
では、こちらには責任がないにもかかわらず返済ができない場合はどのようにしたらいいでしょうか?
このような場合、「供託」という制度を利用することで、貸主が返済資金を受け取っていないにもかかわらず、借主の義務を免れることができます。
具体的には、「供託」を扱っている管轄の登記所で、本来貸主に払うべきだった金員を預けることになります。供託することで、債務者は債務履行にならずに済むことになります。
くれぐれも、受取拒否されたので払わないで済む・・・と誤解しないようにご注意ください!