最近の相続案件に関する打ち合わせでの出来事です。
今回の案件は、ご主人がお亡くなりになられ、かつ、生前に奥様とは離婚されていらっしゃいました。
となると、相続人は子どものみとなるため、相続人確定のためお預かりした戸籍の内容を確認していったところ、ある戸籍に違和感を感じました・・・!
戸籍を何度見返しても、ご夫婦が離婚された後に出生した子どもが、そのご夫婦の子どもとしてご主人の戸籍に記録されていたのです。
最近も役所のミスで戸籍の日付がおかしいものがあったので、また離婚の日付か子どもの出生日の記録を間違えたのかな?と思っていろいろと考えていたときに、ある条文の規定の存在に気付きました。
その条文とは、「民法第772条」です。
民法第772条には、下記のことが規定されています。
1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2.婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
上記の第2項において、婚姻の解消から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定されることになっています。
さらに、第1項で、婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定すると規定されているため、離婚した後に出生した子であっても、離婚から300日以内に生まれた場合には夫の子と推定されることになるわけなのです。
しかも、民法第790条第1項で、「子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。」とあり、戸籍法第18条第1項で、「父母の氏を称する子は、父母の戸籍に入る。」との規定に基づいて、離婚当時の父母の戸籍に入ることとなるため、ご主人の戸籍に入っていたわけなのです。
再度見返したところ、確かに離婚されてから300日以内に出生されていらっしゃいました・・・。
もちろん、この規定は司法書士であれば試験の際に勉強しておりますし、条文も熟知しておりますが、戸籍に記録されていた情報とこの条文の知識がつながるのに、時間を要することとなりました・・・。
実際の事例にふれたことで、また一つ、実務において注意すべきアンテナが立ちました!