会社法では、類似商号の規制が撤廃されています。
以前は、同一の市町村内で、同一の営業目的で、他の会社と同一もしくは「類似」する商号については、登記することができませんでした。
会社法では、同一の所在場所における「同一」の商号で登記することはできませんが、類似する商号について登記は可能となっています。
よって、以前と異なり、設立手続きをする際に、類似商号の関係で登記ができない・・・という事態はなくなりました。
ただ、登記ができるから全く問題がないのか・・・というと、そういうことでもありません。
不正競争防止法において、不正競争の目的で、他人と同一または類似の商号を使用した場合には、その相手方から商号の使用の差し止めを請求されたり、損害が発生した場合に損害賠償請求をされることもあります。
さらに、他人と類似した商号を使用することで、不測の損害を生じるケースもあります。
今回、当事務所で設立登記をするにあたり商号調査をしたところ、
新しくする会社→株式会社ABC
既存の会社→株式会社エービーシー
【例:実際の商号とは異なります】
というように、同じ町名に、表記は異なるものの、発音が同じ会社がありました。
しかも、既存の会社の株式会社エービーシーをネットで検索してみたところ、悪徳業者(詐欺)という評判の書き込みがかなりされておりました!
つまり、類似する商号で設立していたら、既存の会社の被害者が、新会社を同じ会社と誤認することでクレームなどの連絡が殺到し、せっかく新たなスタートを切ったにもかかわらず業務に支障がでたり、誤認によって信用を失ってしまうことにもなりかねません。
ということで、既存の会社に損害を与えるような商号を使用しないことはもちろんのこと、既存の会社のトラブルに巻き込まれるような商号を使用することがないよう、商号調査はしっかりと行っておく必要があります。
商号は会社の顔となりますので、そういったことも考慮のうえで決定されることをおススメします。