ちょうど1年近く前にご相談いただいた空き家問題の案件を解決させることができました。
お一人暮らしの方がお亡くなりになられたものの相続手続きがされておらず、ヒアリングを進めていく中で・・・
・相続人の方に没交渉状態の方がいらっしゃる
・自宅の中がゴミで雑然としている
・築年数が古いために解体が必要な状態
・最寄りの駅までに結構な時間がかかる場所に不動産がある
・・・・など、空き家になるべくしてなったという案件でした。
戸籍等で相続人の所在を調査し、相談者と没交渉の状態となっていた相続人の方の所在も判明し、何度も粘り強くお話をさせていただきました。今、解決せずにこのまま空き家として放置すると、結果的に自分たちや次の世代の子供が不利益を被ってしまうということをご理解いただき、相続手続きにご協力いただくことで話がまとまりました。
空き家案件で大事なのが出口戦略です。上記のように、相続の話がまとまっても最終的に不動産をどのようにしていくのかが決まらなければ、相続人が共有状態のまま空き家を保有し続けることとなり、かえって問題が複雑になってしまいます。
そこに居住を希望され相続人の方がいなかったため、売却の方向で話を進めてみたものの、こちらが希望している金額で購入してくれるところがなかなか見つかりません・・・・。
お亡くなりになられた方には未払いの債務等もあったため、その債務を整理するためにも一定額以上の価格で売却をする必要があります。また、相続人の方のご要望で、お金をかけずに処分をしたいということでしたので、建物の解体費の負担や建物の中にあるゴミもそのまま引き受けていただく必要があり、悪条件が重なる中での買主探しとなりました。
最終的には、ある不動産会社の営業の方が地元の不動産会社に飛び込み営業をしていただいたおかげで、こちらが把握していた査定額を上回る額で購入をしていただける会社を見つけていただくことができ、本日無事売却をすることができました。
その買主の会社さんから話を伺うと、地域の空き家バンクにも登録をしていて、空き家問題の解決に日々貢献されていらっしゃるとのこと。今回の空き家物件の近くで、自社の分譲販売をされていたため、「仕方がないなあ・・」ということで、今回の空き家の買い取りをご決断いただいたようです。
物件の中もご覧になられておらず、「どれだけゴミがあるのかなあ・・」と心配されながらも、空き家問題に取り組まれている今までの経験値を頼りに、ゴミの処分費用も見積もられたようで、経験に勝るものはないですね。
そんな経緯を経て、本日、売買契約締結と同時に売買代金のやり取りも行いました。受領した売買代金の中から、すべての未払い債務の支払いを済ませ、各相続人に残りの残金を振込し、すべての手続きが完了しました。
案件を受託させていただいてからの一年間は、一つ問題が解決したら、また新たな問題が発生することの繰り返しでした。途中、解決の見通しが立たず出口までの道のりが全く見えない時期もありました。
買主が決まり、契約する直前になっても、空き家の敷地内にあった自動車の車検が切れているだけでなく、車検証が紛失していることが判明!
しかも自走することが出来ないので、車検証の再発行やレッカー社の手配など、自動車の撤去対応にも追われることとなりました・・・。
大変な案件でしたが、無事、新たな買主に承継することができ、空き家がまた1つ増えることを防ぐことができました。
空き家問題を解決していくことは、絡み合った糸を根気よく丁寧にほぐしていき、1本の直線の糸の状態に戻していくようなものだと思っております。絡み合った糸を見ただけで、その糸をほぐすことにためらいを感じてしまう人が多いかもしれませんが、ピーンと張った1本の糸に戻った時の達成感と爽快感は何とも言えませんね。
以前のブログでも書かせていただきましたが、今後は絡まった糸をほぐすことではなく、そもそも糸が絡まないための活動に注力していきたいと思います。
みなさんが所有されている不動産、次の承継者は決まっていらっしゃいますでしょうか?