株式会社を設立する際、「資本金」を出資する必要があります。
会社法では、資本金に関する規制がないため、極端な話、1円を出資し、資本金の額が1円の株式会社を設立することもできます。資本金の額は、登記事項として公示されますので、実際には1円で登記できたとしても、金融機関や取引先からの信用を得るのが難しいので、実務上はほとんど見かけません。
当事務所では、お客様から資本金1円で設立の依頼があったとしても、取引上の不利益をお伝えし、ある程度の資本金を用意して設立してもらうようにしております。
出資する資本金のほとんどは、「金銭を出資する方法」で行われます。たとえば、100万円の資本金を出資して株式会社を設立しようとする場合、出資者の個人の通帳に100万円を入金または振込し、その入金記録がされた後の通帳の写しが、資本金に関する証明書の一部となります。
一方、会社法では金銭以外の財産を出資する「現物出資」という手法も認められています。たとえば、業務に使用するパソコン、車、有価証券、不動産などの財産を、資本金として出資することができます。
その現物出資の財産として、「仮想通貨」を現物出資するスキームを採用して、新たに株式会社を設立する会社の記事が、本日の日経に掲載されておりました。
仮想通貨は法定通貨ではないため、金銭以外の財産に該当することとなります。具体的には、「イーサリアム」という種類の仮想通貨を現物出資をするようで、新会社で予定している資本金2億円のうち、1社が金銭で1億200万円(出資比率:51%)を現金出資し、もう1社が仮想通貨で9800万円相当(出資比率:49%)を現物出資をするようです。
仮想通貨は価格変動が激しいため、多めに仮想通貨を現物出資することで、出資比率相当の価値を維持していくなどの工夫がされています。
新たに設立される会社は、仮想通貨の流動性を高めるための取引プラットフォームを提供することを目的として設立するようで、予定している事業目的がニュースリリースに掲載されておりました。
今後、仮想通貨事業に参入することを見越して、会社の事業目的として、「仮想通貨事業に関する目的」を追加するための定款変更が行われている上場企業が増えてきている、との別記事も日経に掲載されていました。
新たに会社を設立する際や会社の事業目的を変更する際に、最先端の事業を行っているお客様の話を理解するには、ニュースや新聞等で新しい概念や言葉を常に収集していく必要があり、このような案件を受託する時に、日々の積み重ねが大いに役立ちます。
今後、「仮想通貨で現物出資をお願いします!」・・との依頼にも対応できるように、今日のニュースリリースで研鑽を積んでおきたいと思います!