今日、相続放棄の手続きをしたお客様がお見えになり、家庭裁判所から書類が送られていたので見て欲しいとの依頼がありました。
相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出した後、1週間から2週間の間に家庭裁判所から申述人あてに照会書が送付されてきます。
照会書は、相続放棄の手続きは自分の意思に基づいたものかどうか、被相続人が亡くなったのを知ったのはいつの時点か、把握している遺産の内容、相続放棄をする理由など、相続放棄の申述書に記載した事項と同様のことについて、アンケート形式で回答するようになっています。
こちらの照会書を家庭裁判所に返送し、同じく1週間から2週間程度経過すると、相続放棄の手続きが無事受理された旨の「通知書」が送付されてきます。
この通知書が手元に届くと、以後、相続放棄の効果を第三者に主張することができるようになり、被相続人の債権者から借入金の返済求められたとしても、この通知書があれば、返済をする必要が法的に免れるようになります。
以前は、相続放棄をした相続人がいる場合の相続登記手続きには、この家庭裁判所から送付されてきた「相続放棄申述受理通知書」をもって登記をすることが出来ず、同様の内容が記載されている「相続放棄申述受理証明書」を別途家庭裁判所に申請し、証明書を取得する必要がありました。
数年前に、「登記研究」という専門雑誌に取り扱いの変更に関する質疑応答が掲載され、相続放棄申述受理証明書をわざわざ取得しなくても、相続放棄の手続きが完了する際に家庭裁判所から送付されてくる相続放棄申述受理通知書で手続きすることが可能となり、ひと手間を要することなく、相続登記手続きをすることが出来るようになりました。
しかし、この相続放棄申述受理通知書は再発行されませんので、債権者等からの依頼に応じて、原本を渡してしまわないようにお気をつけください。
(通常は、通知書のコピーを渡すことで対応する場合が多いです)
万一、相続放棄申述受理通知書を紛失したとしても、相続放棄の効果に影響が出ることはありませんのご安心ください。手続きに相続放棄に関する書類を求められることがあったら、前記の相続放棄申述受理証明書を取得すれば問題ありません・・・・。
なお、この証明書は通知書と異なり、1通150円の交付手数料を納めれば、証明書を何度も取得することができます。
「通知書」と「証明書」で、再発行の可否や交付手数料の有無に違いがありますが、相続放棄をしたことを第三者に対して主張できるという効力には相違ありません。
債権者に対し相続放棄をした証明が写しでOKであれば、交付手数料がかからず証明書を取得する必要のない、通知書のみで対応されてみてもいいかもしれませんね。