以前もご紹介した、なんとなく似ているけれども、ルールをしっかり認識して使いたい用語を紹介したいと思います。
それは、「みなす」と「推定する」です。
みなす・・は、法律上「そういうもの」として扱い、推定する・・は、「一応そういうものにしておこう」ということで、みなすよりも弱い意味で利用されますが、2つには大きな違いがあります。
みなすは、そういうものとして扱われてしまうので、反対事実を証明して覆すことができません。一方、推定するは、一応そういうものにしておこうと推定されるだけですので、反対事実を証明して覆すことができます。
例えば、奥様から「午前0時までに帰宅しないと、浮気したものとみなす」と言われていたにもかかわらず、帰宅をするのが午前0時を過ぎてしまうと、何を言っても無駄で、浮気をしたことが確定してしまいます(笑)
しかし、「午前0時までに帰宅しないと、浮気したものと推定する」と言われていた場合には、「泥酔いした後輩を自宅まで送り届けたら午前0時を過ぎてしまった!」と、浮気をしていないという反対事実が証明できれば、浮気の濡れ衣を晴らすことができます・・・。
実際の法律での使われ方を見てみましょう。
民法第772条で、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と規定されています。
推定とありますので、婚姻中の夫婦間で子を妊娠した場合は、一応夫の子としましょう。ただし、反対事実が証明されれば、夫の子ではないと認定しましょう・・という意味になります。
また、同じく民法第753条では、「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」と規定されています。
よって、婚姻した未成年者が、また自分は成年者としてふさわしくないとか、20歳未満であること主張したとしても、婚姻した時点で成年者としてみなされることが確定しますので、未成年者であっても成年者として法律が適用されていくこととなります。
以上のように、「みなす」か「推定する」で結論が異なりますので、条文を読む際には注意してください。
また、どちらの言葉を利用するかで、反論の余地があるのかどうかの分かれ道となりますので、そのことを考えながら選択してみましょう!