昨日の続きです・・・・。
お子様のいらっしゃらないご主人が、自分が亡くなった後に不動産を奥様に相続させたい!でも、先祖代々の不動産が最終的に奥様の親族に渡ることは納得できない!
そのような複雑な思いをもたれ、遺言の作成をためらってしまうことがあります。
①自分が亡くなった後は妻へ ②妻が亡くなった後は自分の兄弟等へ
という内容の遺言書を作成すること、つまり2代先を指定する遺言は法的に効力が生じないという話を昨日しました。
だったら、自分が亡くなった後は奥様へ不動産を相続させるという遺言を作成するのと同時に、奥様には、ご主人から相続した不動産をご主人の兄弟等に遺贈するという遺言を作成すれば目的が達成できるのでは?と思う方もいらっしゃるのではないかと思います。
そのような内容の遺言書を作成することで、ご主人→奥様→ご主人の兄弟等へ不動産を移転することはできます。ただし、この方法で必ずご主人の兄弟等に不動産を戻すことができるかと尋ねられたら、答えは「ノー」となります。
というのも、ご主人がお亡くなりになって奥様に不動産が相続された後に、「そういえば新婚当時、お姑さんにいじめられたなあ」とか「主人が亡くなってから、義理の兄弟とは疎遠になってしまったなあ」・・・・・・などなど、いろんな感情が湧き出てきて、遺言した時のお気持ちと変わってしまうことがあります。
そういった時に、奥様が当時の遺言書を書き換えて、ご自分の兄弟に相続させる旨の遺言書を作成してしまうと、先祖代々受け継がれた不動産は永久に戻ってくることはありません。よって、このような方法は、将来の奥様のお気持ちに全面的に依存する結果となり、確実な方法ではないため、専門家として選択することはできません。
そのような場合、「信託」を利用すると遺言ではできなかった、確実に自分の兄弟等に不動産が戻ってくる仕組みを設計することができます。
例えば、ご自身が元気な時に、
①自分が亡くなったら妻へ
②妻が亡くなったら甥へ
という内容の信託契約を締結し、その実現を信頼できる人に任せることで、お客様のお悩みを解消することができるようになります。
信託契約の詳細や活用事例等については、順次ご紹介していく予定ですので、ご自身のお悩みと同じ事例があった場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。